「大昔、霊峰弥彦山にたくさんの兎がすんでいたが、毎日、里へ下りては神領農民達の大切な田畑を荒らすために、ほとほと困り果ててしまった。
農民たちの苦しみをお聞きになった彌彦大神様は、早速弥彦山にいる兎たちを全部集められて、大切な田畑を荒らすことのないようにとお諭しになったので、すっかり恐れ入った兎たちは、以後絶対に里へ下りていたずらをしませんと固く誓い、それから後はぷっつりと被害が無くなったと云う」(弥彦名産玉兎組合)
という伝説が弥彦にあるんですね。
それで、
「神領の農民たちは彌彦大神様の御神徳を大変感謝し、大神様のお諭しを聞いてかしこまっている兎たちの丸くなった姿を米の粉で形作って献上したところ、大神様はこの菓子を喜んでお召し上がりになられ、「良幸餅(うさちもち)」と名付けられたと云う」(弥彦名産玉兎組合)
ということなんです。
この兎を模したお菓子が、良幸餅から兎餅へと変化し、その後「玉兎」となり弥彦銘菓として皆様に親しまれているんです。
お菓子が実際に販売されたのは江戸時代にさかのぼり、幕末に刊行された『越後土産』という本には、「弥彦兎まんちう」の名が見られ、その頃から兎を模したお菓子が人気だったようです。
現在では4件の和菓子店により、大小様々な大きさのものや、中に餡を入れたもの、和三盆を使ったちょっと高級なものなどが販売されています。
何といっても可愛らしいのは、まあるい兎の形。諭されて「スミマセンデシタ。モウシマセン…」と謝っている姿なんて、キュート! そういう意味では、喧嘩した後の仲直りのプレゼントにもいいかもしれませんね(笑)。
いわゆる落雁のような形状をしていますが、ほろほろと口溶けが良く優しい甘さ。落雁のように硬くもなく甘すぎず、お抹茶にもコーヒーにもよく合います。
最近では玉兎の型をもちいたチョコレート「ちょこっ兎」も発売。和菓子には手が出なかった若い方やお子様にも人気を呼んでいます。
弥彦の街の中には至るところに兎モチーフがありますので、街ブラついでに探してみるのもおもしろいです。かわいい兎のお土産、お忘れなく〜!