241のブランドが結集し、オフィスビルや観世能楽堂、ツーリストサービスセンター、観光バス乗降所も備えるということで、話題になりましたね。
実はこの最新スポットに、我らが燕の誇りである鎚起銅器の名店・玉川堂さんが銀座店を出店しているんです!(燕の玉川堂本店の記事はコチラ)
ということで早速お邪魔してきました。
ちなみにオープンから数ヶ月経ちましたが、いまだに開店時には長蛇の列。改めて驚きました。
店内マップを頼りにフロアを進むと、艶やかな銅の輝きが!
一目でここが玉川堂だとわかりました。内装は銅板400枚を組み合わせた世界初の全面銅張りで、社長を含め全21名の職人が4か月かかって、一枚一枚鎚目を打って仕上げたといいます。
「創業以来200年間、銅器製作一筋で培ってきた歴史と文化を表現し、銅メーカーの世界最高峰を目指す意気込みを表しています」と、玉川堂7代目の玉川基行さん。
床からディスプレイ棚まですべて銅というこだわりの空間。鎚起銅器は、一枚の銅板を何百回と叩いては焼きなまして打ち縮めて作りますが、生活用品だけにとどまらない新たな可能性を感じさせてくれます。
例えば、製作途中の銅板をそのままディスプレイテーブルとして用いているのですが、鎚目とドレープが美しくファーニチャーとして買い求めたいというお客様もいらっしゃるそう(非売品です)。
今回の銀座店オープンについて玉川社長は、
「銀座は訪日外国人が多いので、鎚起銅器を世界へ発信するためには最高の場所。また、訪日外国人へ燕三条・弥彦をPRし、東京から燕三条・弥彦へと足を運んでいただく動機付けとしても最適だと思い、出店しました」
と話してくれました。自社の認知度を高めるだけでなく、素晴らしい銅製品が生まれる場所まで観光客を引き込むという誘致も狙っているんですね。本物が持つ吸引力をよくわかっていらっしゃるからこその英断です。
上の写真は銀座店オープン記念に作られた1点ものの湯沸かし。「GINZA SIX」の地下に観世能楽堂があることから、能面を打ち出した口打出(くちうちだし:注ぎ口まですべて1枚の銅板を打つことで仕上げたもの)で、蓋のつまみには純銀を用いています。様々な鎚目が紋様となり、職人技を存分に楽しめる一品です。
現在、訪日外国人は圧倒的にアジア圏の方が多いそうで、同じ喫茶文化を持つだけに急須や湯沸かしなどの茶器が人気とのこと。また日本人の方には、ぐい飲みがよく売れるそうです。このぐい飲み、本当に日本酒の味わいを際立たせてくれるスグレモノなんですよね。
「銀座店の商品ラインナップは茶器と酒器に特化し、それにさらに磨きをかけて、世界最高峰の茶器と酒器のブランド構築を目指しています。また、他ブランドとのコラボ企画も定期的に発表し、常に銅器の新たな世界観を表現していきたいと考えています」と、玉川社長。
ところで、2017年5月から運行を開始した「TRAIN SUITE 四季島」はご存知でしょうか。JR東日本の豪華寝台列車として内装や訪問地などがテレビなどで報道されましたよね。この車内に玉川堂の花器が使われているんです。
女性職人が企画したもので、コロンとした小ぶりの丸いフォルムが可愛らしい作品です。3泊4日の四季島の旅では、新潟・燕三条の玉川堂本店に立ち寄り、職人たちの製作現場を見ることもできるそうです。
値段だけ見ると気軽に買えるものではないですが、お店は常に多くの人で賑わっています。これこそ「銀座という場所で、一流の職人技を目にする」という文化体験の役割をも担っている証です。スタッフと会話をし、日本にはまだまだ素晴らしい伝統工芸が生きていることを知るだけでも、価値のある時間となるでしょう。
銀座に行く機会がありましたら、ぜひ「玉川堂銀座店」で本物に触れるひとときをお過ごしになってみてはいかがでしょうか?
●玉川堂銀座店●
住 所 東京都中央区銀座6丁目10−1 GINZA SIX 4F
電 話 03-6264-5153
営業時間 10:30〜20:30
アクセス 東京メトロ 銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」A3出口から徒歩2分